必ずブランディング通になれる3分で読めるエッセイ〜ブランドのチカラ

ブランディング・コンサルタントの経験譚。Barで若きマーケーターとスコッチ飲んで話す気分で。ブランディング & マーケティング・コミュニケーションのあれやこれやを分かりやすく、自分の言葉で。

其の1 ブランディング についてのブログ、はじめの一歩

なぜ今ブランディングのブログを書き始めたのか

      コロナ禍で世界中が乱気流に巻き込まれ、日本も先が全く見えず不安な気持ちで過ごす毎日です。

  大手を振って通勤・外出して、お店で美味しいものを食べて、服を買って、美容院にも行って…と心配せず出歩ける日は再びいつ来るのか?   

 

  実は皆が薄々感じ始めているのではないかと思うんだけど、新型コロナウィルス感染危機 (以下コロナ危機に) が収束したとしても、コロナ危機前の心持ちには我々は戻れないんじゃないか?

     マーケターの視点でいうなら、コロナ危機前とコロナ危機後で消費者の購買行動・心理は変わってしまうのではないか?  コロナ危機が収束すれば、それまで我慢していた消費者の購買意欲が着火して爆買いが始まるとする見方もあるけど、そんな簡単にいくでしょうか? とてもそうは思えないんです。

 

  不要不急な外出は自粛して、Stay Homeと散々言われて、皆は自分にホントに「要」なものは何なのかが見えてきたのではないかと思うんです。ひとはパンのみにて生きるにあらず。

  皆は購買するモノ・サービスの自分にとっての意味・意義、つまり精神的価値を無意識で考え始めたのではないかなぁと。   

  意味・意義というと大袈裟に聞こえますか? 私はこれには「cause」という英語がぴったり当てはまると確信します。

  causeはbecauseのcause。なぜこれを買うのか。ただ安いからとか国産品だから、という物質的なことではなくて、それを超えた自分にとってのcause。

  Brandって消費者にこのcauseを啓示してくれるもんではないでしょうか。Brandingはその製品が機能スペック的にどうだこうだということを超えて、その人にとっての情緒的な価値をどのように啓示しているかを長い時間をかけて作り上げることなのだと思います。

 

   「大手広告代理店」に入社して退職するまで、30年余の長きにわたり海外畑を歩いてきて、その殆どを欧米系の外資系クライアントとの仕事をしてきました。

  その間に習得したことを一言で述べるならそれは企業存続の生命線はブランディングに尽きるということ。欧米系の企業のマーケティング戦略について特徴を述べるなら、それは徹底したブランディングへの拘りです。

  勿論マーケティング戦略は売上利益の最大化を目的とするものですが、それ以前にマーケティング戦略ブランディングに合致していることが必須のこととして求められます。

  いくら目の前の売上利益を伸ばせるものであっても、肝心のブランドを毀損するプロモーションは決して承認されない。  

  自分が若い頃はこの融通の利かなさに随分と苛立ったものですが、時が経ち、売上利益を継続するには、短期のプロモーションの成果に一喜一憂する事はむしろお金の無駄遣いですらあり、実は継続的な一貫性のあるブランディングこそが肝要なのだと開眼しました。結果的に見てcost efficient です。

 

  アフターコロナ時代のひとの心持ちを考えると、これまで以上に消費のcauseが求められるような時代になるのでは。

  目の前の売上利益を追求する一過性のプロモーションはますます通用しなくなり、消費のcauseを提示するbrandingが重要になるでしょう。

  

  Branding思考が必須となるであろうアフターコロナの時代、若いマーケーター達にヒントのひとつも与えられたらと願い、ブランディング道場でクライアントから散々投げ飛ばされて技を覚えてきた実践経験 & 知見をシェアしたくて、このブログを立ち上げた次第です。志のあるマーケーター達とbarでいっぱい呑みながら問わず語りをする様に。