必ずブランディング通になれる3分で読めるエッセイ〜ブランドのチカラ

ブランディング・コンサルタントの経験譚。Barで若きマーケーターとスコッチ飲んで話す気分で。ブランディング & マーケティング・コミュニケーションのあれやこれやを分かりやすく、自分の言葉で。

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ひと目で分かるブランディング

ホームページで「ひと目で分かるブランディング」という小文を書き始めました。ブランディングのヒントになるものを拾ってコメントしています。よかったら覗いてみてください。 causeplan.com/hitome1ntx.pdf

其の73 ブランドソーマ・保険の広告

業種別の広告出稿量調査というのを電通が毎年発表しています。対象はマスコミ4媒体です。これによると2020年度の総広告費は2兆1,363億円。同年のインターネット広告費はマス4媒体に並ぶ出稿量となったと言われていますので、この調査だけで業界別の動向を判…

其の72 広告の見巧者・向井 敏 ⑦ 終章

本稿でとりあげてきた向井 敏氏の著書「紋章だけの王国」が書かれたのは1977年のこと、この6年後には増補版が出て、民間放送が開始された1953年を起点とした広告の30年史と謳っています。 1976年時点で、向井さんは民放開局以来二十数年の広告の来し方を、広…

其の71 広告の見巧者・向井 敏 ⑥

日本損害保険協会のTVCM 1975年 東レの「イエイエ」の後を追うフィーリングCMの系譜として、向井さんは藤岡和賀夫*1さんのプロデュースした富士ゼロックスの「モーレツからビューティフルへ」とJRの「Discover Japan」を挙げています。 「イエイエ」TVCMは19…

其の70 広告の見巧者・向井 敏 ⑤

アロンアルファのCM 1965年〜67年ごろ、CMと言えば、むやみと商品名を連呼したり、人騒がせな惹句をまくしたてたりする泥くさいものか、さもなけば、商品カタログをなぞるだけのいたって退屈なものというのが世間の通り相場であって、さきの記事に「CMという…

其の69 広告の見巧者・向井 敏 ④

東レのTVCM 向井 敏さんが著書「紋章だけの王国」でTVCMが初めて日本に登場してからの変遷を次の三期に仕分けました。 ① 「コマーシャル・ソング」(1955年〜62年) ② 「キー・ワード」(1963年〜65年) ③ 「フィーリング」(1967年以降) 前々回其の67で…

其の68 広告の見巧者 向井 敏 ③

(株)アイデアル TVCM 植木等出演 広告会議で日本を訪れるアメリカの広告人たちは、商売熱心なのか、物見高いのか、この国のCMがやたらと気になるらしくて、実に熱心にテレビを見る。彼らにその感想をたずねてみたまえ。まず例外なく、CM秒数の短さを言うだ…

其の67 広告の見巧者〜向井 敏 ②〜

>「紋章だけの王国」増補版 向井 敏 著 潮出版 昭和58年(1983年) この著作から6年後の1983年に氏はTVCMの30年史として新たに増補版を出版しました。改訂はせず、10章からなる原版に加えて補遺の一章を加えて30年通史としたのです。 後2年するとTVCM50周年…

其の66 広告の見巧者〜向井 敏 ①〜

NHK時代の黒柳徹子さんなにしろ、全く新しい広告媒体である。専門家などいるわけがなく、作り手はおしなべてアマチュア。暗中模索もいいところで… これは、facebook について書かれたものでしょうか? それともInstagram? 答えはTikTok・・・ でもなく。 実…

其の65 広告の見巧者

見巧者(みごうしゃ)という言葉があります。 歌舞伎、能などの古典劇や芝居などの決まりごとや背景に精通しているひとを指します。 多くのだしものを観て、知識を身につけていると、より深く芝居、劇を楽しめるという暗黙の了解が前提。 誰もが等く、知識量…

其の61 昭和の名ブランディング・Music Player

グラモフォン(蓄音機)音楽再生機器、英語ではMusic Playerというのでしょうか、これは音楽の記録ソフトの変遷と歩みを合わせて進化してきました。 表裏一体。世界で初めて再生可能なレコードを1877年に発明したのはエジソンでフォノグラフと呼ばれました。…

其の60 昭和の名ブランディング・「パパ良かったね」

アデランスTVCMよりブランドの目指す「志」をスローガンにしたものをブランド・スローガンと言いますが、表現の場において、ブランド名の近くに置かれたものをショルダー・コピーとかタグラインと呼びます。日本ではブランディングは商品そのものよりも、企…

其の59〜昭和の名ブランディング〜ダルマといえば〜

サントリーホームページより 「ダルマ」というニックネームで男性に親しまれてきたサントリーの名ウィスキーがあります。サントリーオールドです。 数多くのCM曲や歌謡曲を創り出してきた巨漢の名作曲家、小林亜星さんが先頃逝去されました。*1 レナウンの「…

其の58〜昭和の名ブランディング〜ケンメリ・・・

[ 前稿ではTOYOTAのフラッグシップ車種のクラウンについて書きました。このクラウンの登場から2年後の1957年、日産自動車とのちに合併するプリンス自動車が富士精密工業と名乗っていたときに生産を開始した日本の名車がスカイラインです。スカイラインは2021…

其の57 昭和の名ブランディング 〜いつかは・・・〜

>TOYOTA ホームページよりLexusのブランディングについて書きました。LexusはTOYOTAというコーポレート・ブランドからイメージを切り離して、独自の高級車路線を米国で確立することに成功し世界にその名を馳せることになった名ブランドですよね。世界のネス…

其の56 昭和の名ブランディング 〜男は黙って〜

>映画.com こんなクイズがあったら、昭和30年代前半に生まれた男子ならば即答できるでしょう。昭和31年生まれの貴方、正解です。 そうです。サッポロビールです。まずはこのTVCMをご覧ください。 youtu.be どうでしょう。前稿で8篇にわたってご紹介した日…

其の55 昭和の名ブランディング〜ミスタードーナツ ②

>walkerplus.comよりミスタードーナツ 、以下ミスドに省略します、ミスドのTVCMが1985年に登場した明石家さんまと片桐はいりの共演したCMからガラリと変わったと前回書きました。そして続いて、若き日*1のダウンタウンが出演します。このTVCMが持つ独特のテ…

其の54 昭和の名ブランディング〜ミスタードーナツ ①

ミスタードーナッツ・ホームページより 箕輪第一号店創業当時前稿まで8篇を費やして、梶祐輔氏(日本デザインセンター創立メンバーの一人)が名著「広告の迷走」で繰り広げた日本の広告の有り様についての手厳しい批判と直言、提言をご紹介してきました。 氏…

其の53 ブランドを語った偉人たち〜梶 祐輔 ⑧ 終章〜

「アメリカのブランド観」というタイトルで梶さんは、数多くの広告理論同様、ブランド理論はアメリカで生まれたと紹介しています。ブランドは資産であるという考え方を展開したのは、マーケティングを生業としているひとなら周知のディビッド・アーカー*1教…

其の52 ブランドを語った偉人たち〜梶 祐輔 ⑦〜

中長期的な視点でのブランディングをするに障壁となる、日本の組織的な問題について、梶氏は伊藤邦雄・一橋大学名誉教授の名著「コーポレートブランド経営」から以下を引用しています。 環境変化が従来とは比較にならないほど不連続で不透明な時代には、ミド…

其の50 ブランドを語った偉人たち〜梶 祐輔 ⑤〜

SONY 新Walkman TVCMより(1987) なかには素晴らしい15秒スポットもあるのだ ここまで、ぼくは日本のテレビコマーシャル、なかでも15秒スポットに対して、悪口雑言の限りを書きつらねてきたのだが、もちろん、この国には、鮮烈で、感動的で、一度見る…

其の49 ブランディングを語った偉人たち~梶 祐輔 ④~

前稿で、日本の広告をダメにしたのは制約のある15秒TVCMという形態と、 其の短い秒数でインパクトを最大限にする為にほとんどのTVCMがタレント依存型の ものになってしまった、とする氏の批判を紹介しました。タレントCM*1の何が悪いと氏は言っているのか。…

其の48 ブランディングを語った偉人たち〜梶 祐輔 ③〜

>広告の迷走 梶 祐輔 著(宣伝会議 2004年発売) 広告表現形式であったと断言しています。梶氏の辛口批評を要約引用します。 テレビコマーシャルは広告主数社が、或る番組を買切り、その中にCMを入れるのがオーソドックスな方法。それ以外に番組から番組の間…

其の47 ブランドを語った偉人たち〜梶 祐輔 ②〜

>「広告の迷走」梶 祐輔 著 (宣伝会議 2004年発売)*1の真髄だと直感していた梶さんは、商品名を連呼する、たった15秒のTVCMにメッセージを詰め込む当時の状況に嘆き、憤怒を著書に認めました。それは次回に...というところで前稿は終えました。本稿はそ…

其の46 ブランドを語った偉人たち~梶 祐輔 ①~

広告の迷走 梶 祐輔 著 (宣伝会議 2004発売) 僕は広告は、その会社がどういう「熱い思い」をこめて会社をやっているのか、どういう「熱い想い」をこめて商品を作っているのかを、本心で語るべきだと思っている。 「熱い想い」は、イメージではない。それは…

其の44 ブランドを語った偉人たち〜藤岡和賀夫 ②〜

左:大阪万博・太陽の塔 右:富士ゼロックス TVCM 前稿に続き稀代のプロデューサー故 藤岡和賀夫氏について書き進めたいと思います。氏の仕事で私の記憶に強く残っているのは何と言ってもJR(当時国鉄)のDiscover Japanキャンペーンと富士ゼロックスの「モ…

其の(33) ブランディングは脳科学 ③

前回に引き続きダリル・ウェーバーの「誘うブランド」で提唱されているブランディングは脳科学との関係で考えられるべきであるという説を深掘りしていきたいと思います。なぜ深掘りするのか? そんなに脳が好きなのか?そうじゃないんです。多くの企業の幹部…

其の(32)ブランドは脳科学②

人にとって学校における勉強は試験をパスしたり成績を良くするために絶対必要で、脳が頑張って記憶する高関与型処理。あまり重要でない広告は意識的メッセージが記憶されない低関与型処理で、企業のマーケターが知恵を振り絞って作った訴求点は、残念ながら…

其の(31)ブランディングは脳科学 ①

ここ数回、ブランドを好意的に想起する合図となるブランド・ソーマを脳の意識下に埋め込むブランディングの話をしてきました。 繰り返しになりますが、ネスカフェ・ゴールドブレンドの違いがわかる男シリーズの「ダバダ〜」スキャット、ライオンの往年の名シ…

其の30 名曲のブランド・ソーマ

名曲が広告商品・サービスを想起させるブランド・ソーマとして際立っていたロングランCMシリーズを三つ紹介する。